ツガザクラ(栂桜) [ツツジ科]
237-21 ツツジ科 ツガザクラ属
北半球の高山や寒帯に分布する常緑小低木。茎は地面を這い、上部が斜上して線形の葉をつける。枝先に散形花序をつくり、2~10個の鐘型またはつぼ形の花をつける。花冠の先端は浅く5裂する。ツガザクラ属は交雑しやすく、2種以上が生育しいるところでは両者の性質をもついろいろな段階の雑種が見られる。
1.ツガザクラ ~ Phyllodoce nipponica ~
ツガザクラ(栂桜)
花冠は鐘形で帯紅白色 萼片と花柄は紅紫色
葉は “ツガ” の葉に似ている
蒴果は上を向く
撮 影: 1枚目:五色ヶ原 2015. 7.29. 2、4枚目:奥白根山 2013. 7. 6.
3枚目:月山 2014. 7. 5.
Memo: 本州、及び四国の亜高山帯~高山帯の岩場や礫地、草地に生育する常緑小低木。日本固有種。7~8月頃、枝先に2~6個の花を横向きまたは下向きににつける。花柄は長さ1~2.5cmになり、微毛と腺毛が生える。花冠は帯紅白色の鐘形で浅く5裂する。花柄と萼片は紅紫色で、萼片は5裂する。
2.アオノツガザクラ ~ P. aleutica ~
アオノツガザクラ(青の栂桜) ~雪どけ直後の木曽駒ヶ岳の千畳敷カールの大群落~
花柄と萼は帯緑黄色 花柄には腺毛が密生 花冠の先端は反り返る
花冠は壺形 先端は浅く5裂
撮 影: 1枚目:木曽駒ヶ岳 2011. 7.30. 2枚目:木曽駒ヶ岳 2013.10.12.
3枚目:大雪山旭岳 2012. 7.24. 4枚目:五色ヶ原 2014.7.29.
Memo: 北海道から本州中部地方以北の高山帯の草地や岩礫地に生育。日本の代表的な高山植物の一つ(「日本の高山植物」より)。雪田周辺に大群落をつくる。花柄と萼は帯緑黄色で、萼片の縁を除いて腺毛が密生する。花冠は口が狭まった壺形で、先端はごく浅く5裂し、裂片は反り返る。蒴果は上向きにつく。
3.オオツガザクラ ~ Phyllodoce x alpina ~
オオツガザクラ(大栂桜)
萼片の色がやや錦色を帯びているように見える ・・・・・ 一部をUPすると
萼の色が赤みを帯びている ・・・・・ (アオノツガザクラは緑を帯びた黄白色だが)
撮 影: 五色ヶ原 2014.7.29.
Memo: ツガザクラとアオノツガザクラの自然雑種。二つの違は以下の通り。
ツガザクラ :花冠は鐘形で帯紅白色。 花柄や萼は帯紅紫色。 萼はほぼ無毛。
アオノツガザクラ:花冠は壺形で帯緑黄白色。花柄や萼は帯緑黄白色。萼は腺毛がある。
白馬連峰、立山、五色ヶ原、木曽駒ヶ岳、北岳などには2種が入り交じった群落があり、それぞれの形質をもった様々な段階の雑種が見られるという。
4.エゾノツガザクラ ~ P. caerulea~
エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜)
典型的な(?)エゾツガザクラ ・・・ 花冠は長楕円状のつぼ形、外側に腺毛
大雪山にはアオノツガザクラとエゾノツガザクラの様々な段階の交雑種がある
撮 影 : 1~3枚目: 大雪山旭岳 2012.7.24. 4枚目:奥白根山 2013. 8.24.
Memo: 北海道と本州の岩木山、早池峰山、月山などの高山の湿った草地や雪渓の周辺に生える常緑小低木。花柄と萼は紅紫色で両方に腺毛が密生。花冠は長楕円状~楕円状のつぼ形、外側に腺毛があり、先端が浅く5裂する。
5.コエゾツガザクラ ~ P. caerulea f. yezoensisi ~
エゾツガザクラとアオノツガザクラの交雑種 ・・・ コエゾツガザクラ(小蝦夷栂桜)
花冠の色は薄く、外側は無毛
花冠はつぼ形で、色は薄紅紫色がかった白色
撮 影 : 大雪山旭岳 2012.7.24.
Memo: 基準種のエゾノツガザクラとアオノツガザクラの自然交雑種。基準種より花冠が小さく、花冠の外面がほとんど無毛。花冠の色や形、花冠の腺毛の有無、萼片や花柄の色など両者の性質をいろんな変異がある。
6.ニシキツガザクラ ~P. caerulea var. yezoensis ~
ニシキツガザクラ(錦栂桜)・・・?
萼・花冠は無毛 花柄・萼の色は赤みがかった黄色
花柄や萼に、紅紫色が若干残っている
花冠はアオノツガザクラに似ている 花柄・萼の色は紅紫色が~黄白色
撮 影 : 1~3枚目:月山 2014.7. 5. 4枚目:白山 2012.10. 6.
Memo: アオノツガザクラの変種だが、アオノツガザクラとエゾノツガザクラトの雑種起源と考えられているようだ(「日本の高山植物」より)。同図鑑のは花冠の色が赤色系・しぼり状のニシキツガザクラが報告されている。上の4点の花冠は何れも淡黄白色なので、同定にかなり問題は残る。
次回へ ・・・・・ 続きます。
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